不機嫌に最愛
『こんなんなら、萌楓と梓希先輩会わさなかったのに!!』
……それは、困る、いろいろと。
『……で。梓希先輩、萌楓のことどう思ってるんですか!?』
ここがファミレスでよかった、と思うくらい理玖はヒートアップしてて、居酒屋とかじゃなくてよかった。
酒あったら、更にパワーアップするだろ、これ。
『どう思うって、……萌楓は可愛いよ。ずっと傍に置いときたいくらいには。』
『だから、それ、どういうことになるんです?』
『………………………………好き?』
思案しつつ、自分の気持ちを整理して。
思ったままに受け答えしただけなのに、訪れたのは沈黙。
俺と理玖の間だけの静寂を暫くして破ったのは、……
やっぱり理玖だった。
『ダメですからね!!絶対!!』
『何が、』
『まだ16なのに、24のオッサンなんかと!?付き合うなんて、ダメ!!』
……鬱陶しいなー。
『……シスコンも大概にしとけよ、』
聞こえるか聞こえないかくらいの俺の呟きすら、理玖は聞き逃さなかったらしい。
『ロリコンの梓希先輩には、言われたくないです!!』
『はぁっ?』
ロリコンって、俺が?
いやいや、まさか……無いだろ。
『ロリコンじゃないから、幼女趣味とか無い無い。』
『……知ってますよ、それくらい。萌楓だけなことくらい。じゃあ、こうしましょう?』
ヒートアップしてたのがようやく落ち着いたのか、理玖は静かに切り出した。
『萌楓が20歳になっても梓希先輩が好きで、ちゃんと責任取ってくれるなら、……俺は許しますよ。それまで、手出さないでくださいね?もちろん、他に女作るとか有り得ないですから。』
『俺に4年も禁欲しろと?』
『本当に好きなら大丈夫じゃないですかね?大事な妹なので、それくらいしてもらわないと、ね。』
『……わかったよ。手出さなきゃいいんだろ。』
……これが、4年前の話。
理玖と変な約束を交わしたせいで、……今に至る。