不機嫌に最愛



「なんで、萌楓が照れてんの。」



俺の方が火噴くって、この状況。

結局、年の差に躊躇ってるだけで、俺は萌楓を独占しまくりたいくらい好きなわけで。



「て、照れるに決まってるじゃないですか!!こういうこと全部、……梓希先輩が初めてなんだから。」

「だよ、な。ごめん。」


今更、当たり前のことだけど、萌楓は俺一筋だし、……今までずっと他の男の影も無いし。



「謝ってほしいわけじゃなくて、その……突然じゃなければ私は、」

「あーもう、わかった。わかったから、ちょっと黙ろうか?」



顔真っ赤にして潤んだ目で上目遣いとか、……本当止めて。

もう、理性も吹っ飛ぶ威力なんですよ。

両手にすっぽり収まる萌楓を抱き締めて、……深呼吸してみる。



「梓希先輩、心臓早すぎ。」



クスクスと笑う萌楓の言葉にバツが悪いながらも下を向くと、俺の胸にベッタリくっついた萌楓が俺を見上げていて。



「ねぇ、萌楓。キス、してもいい、ですか?」

「えっ、い、あ……うん。はい、……どうぞ?」



俺の言葉に一瞬で顔を赤くして動揺して、……なのに“どうぞ?”って。



「突然じゃなかったら、いいんでしょ?」

「う、うん。」

「じゃあ、いただきます、」



舐めて吸って、……萌楓を味わい尽くすかの如く、萌楓とのキスに夢中になってしまう。



「ん、ふぅ……、んっ、」



あー、ヤバイ。

絶対にヤバイ、止められる気がしない。

蕩けた顔も赤く染まった頬も、潤んだ瞳も……甘い声も。

萌楓の全部が、俺をおかしくする。



「はぁ、萌楓?……大丈夫?」

「……っ、」


ようやく離してやれた頃、くったり俺に凭れている萌楓は力なく首を振って。



「梓希先輩のバカ。……でも、好き。」



涙目で上目遣い、俺を見上げる萌楓の台詞に、……俺が堕ちたのは間違いなくて。

萌楓の天然小悪魔ぶりに、少しだけ頭を抱えたくなった。

……願わくば、俺だけにしか見せないものでありますように!!



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