不機嫌に最愛
*彼女、誘惑中につき
【彼女、誘惑中につき】
☆゜・*:.。. .。.:*・゜☆゜
”梓希先輩が我慢出来ないくらいのイイ女になる“──
啖呵をきったはいいものの、どうするのが一番いいんだろう?
なんていうか……、キスしたりとかいろいろされちゃってはいるんだけれど。
それ以上に我慢出来ないようになるって……
ぶわぁーっと顔が熱くなるのを感じて、慌てて首を振ってみる。
一人で何を想像しちゃってるの……!!
恥ずかしすぎるでしょ、こんな街中で!!
街でウィンドウショッピングがてら、イイ女になるために必要そうなものを探してはいるものの、なかなか見つかるわけもなく。
「まずは、……梓希先輩をドキドキさせればいいのかなー?」
この前、エプロン姿(+ポニーテール)の時は確実にドキドキしてくれてたけど……、コスプレとか?
その考えに行き着いて、街中を見渡せばハロウィン一色で。
お店の中にディスプレイされたものの中には、そういう衣装とかはあるけれども……あれを私が?
…………無理無理無理!!
魔女とかナースとかバニーとか、……いろいろあるけれど着れる気がしない。
「あれー、萌楓さん?」
ディスプレイされたガラス越しに唸る私に呼び掛けたのは……、
「あ、梓希先輩のお店の、……、」
「橘です。この前は、すみません。」
振り返った先には、はにかみながらペコリと頭を下げる、……そう!!
橘さん、だ。
梓希先輩のいる美容室の美容師さん。
この前、梓希先輩に射殺されるって担当変わった人だ。
……名前は、忘れてたけど。
「いえいえ。こちらこそ、すみません。」
私もお辞儀し返しながら、返答する。