不機嫌に最愛
いつまでたっても髪から離れない梓希先輩の指先に、立ち上がってさっさと帰ってしまいたいのに動けない。
たぶん、鏡の中と真後ろから射殺されかけてる!!
「……で?萌楓は、何が気に入らなくて不機嫌なわけ?」
「梓希先輩にだけは、言いたくないです!!」
本当は、スゴーく関係してるけど。
いつも素直に好き好き言いまくる私が悪いのか、梓希先輩ははぐらかしてばかりで答えてはくれない。
……にも関わらず、“萌楓の髪に触っていいのは俺だけ”とか、期待を持たせる事ばかり言うし。
だから、不毛な片想いは髪を切っておさらば、なハズだったのに!!
「先輩のバカ!!」
考えだしたら、腹がたって悲しくなって。
気付いたら、鏡越しに先輩を睨み付けていた。
こんなに好きなのに。
ずっとずっと、片想いなんてイヤなんです!!