不機嫌に最愛


いつまでたっても髪から離れない梓希先輩の指先に、立ち上がってさっさと帰ってしまいたいのに動けない。

たぶん、鏡の中と真後ろから射殺されかけてる!!



「……で?萌楓は、何が気に入らなくて不機嫌なわけ?」

「梓希先輩にだけは、言いたくないです!!」



本当は、スゴーく関係してるけど。


いつも素直に好き好き言いまくる私が悪いのか、梓希先輩ははぐらかしてばかりで答えてはくれない。

……にも関わらず、“萌楓の髪に触っていいのは俺だけ”とか、期待を持たせる事ばかり言うし。


だから、不毛な片想いは髪を切っておさらば、なハズだったのに!!



「先輩のバカ!!」



考えだしたら、腹がたって悲しくなって。

気付いたら、鏡越しに先輩を睨み付けていた。


こんなに好きなのに。

ずっとずっと、片想いなんてイヤなんです!!



< 4 / 41 >

この作品をシェア

pagetop