Silver Forest
第一章 目覚めた場所は…
何? これ……
私はあっけにとられて、まわりを見回した。
だってどう見ても、ここは私の家では、ない。
壁も床も石造りで、いつかテレビで見た、中世ヨーロッパのお城の中の一室って感じ。でもそれにしては、ガランとして殺風景な部屋。調度らしい物も何もない。
目の前には、これまた昔の西洋風の服を着た男が一人立っていて、私を見下ろしている。
「こ、ここ、どこ? あなた誰? 私、なんでこんなとこにいるの?」
硬い床の上から、あわてて起き上がりながら尋ねた。
「……陛下、こちらも気づいたようです」
20代半ばと見えるその男は、私の質問を無視して言った。長い黒髪を、後ろで一つに束ねている。
「そうか。どれ」
向こう側にいたもう一人の男が、こちらを向いて近付いてきた。
……わっ、何この人、髪がすごい紫色〜! 染めたのかしら? でもいやに肌の色も白いし、外国人っていうより、もっと異質な感じ……。顔つきはなんだか陰険そう。歳は、40? 50?
それにしても、なんて趣味の悪い恰好! 黒髪の男と同様、こちらも中世風の長い貫頭衣に、マントという姿。
それはいいとして、色が……なんとも、ド派手! 細かい模様の中には赤・黄・青・そして緑と、ありとあらゆる色彩がごちゃ混ぜに入っている。おまけに体中、宝石やら黄金やらでゴテゴテ飾りたてていて、歩くたびにジャラジャラ音がする。
おっさんは私をまじまじと眺めて言った。
「ふむ……瞳も黒か。あまり美しいとは言えんな」
「な、何よ、それっ! 悪かったわねっ! だけど美的感覚は、あんたよりましよ!」
頭にきて思わず怒鳴った。なのに二人は全く無視して会話を続ける。
「ではアルコール漬けに? しかし陛下、異世界の人間などめったに手に入るものではありませんよ。珍品としてコレクションに加えられてはいかがです?」
「う〜ん、そうだな……」
え〜〜っ? アルコール漬け? コレクション? ……何? 何言ってるの、こいつら?!
私はあっけにとられて、まわりを見回した。
だってどう見ても、ここは私の家では、ない。
壁も床も石造りで、いつかテレビで見た、中世ヨーロッパのお城の中の一室って感じ。でもそれにしては、ガランとして殺風景な部屋。調度らしい物も何もない。
目の前には、これまた昔の西洋風の服を着た男が一人立っていて、私を見下ろしている。
「こ、ここ、どこ? あなた誰? 私、なんでこんなとこにいるの?」
硬い床の上から、あわてて起き上がりながら尋ねた。
「……陛下、こちらも気づいたようです」
20代半ばと見えるその男は、私の質問を無視して言った。長い黒髪を、後ろで一つに束ねている。
「そうか。どれ」
向こう側にいたもう一人の男が、こちらを向いて近付いてきた。
……わっ、何この人、髪がすごい紫色〜! 染めたのかしら? でもいやに肌の色も白いし、外国人っていうより、もっと異質な感じ……。顔つきはなんだか陰険そう。歳は、40? 50?
それにしても、なんて趣味の悪い恰好! 黒髪の男と同様、こちらも中世風の長い貫頭衣に、マントという姿。
それはいいとして、色が……なんとも、ド派手! 細かい模様の中には赤・黄・青・そして緑と、ありとあらゆる色彩がごちゃ混ぜに入っている。おまけに体中、宝石やら黄金やらでゴテゴテ飾りたてていて、歩くたびにジャラジャラ音がする。
おっさんは私をまじまじと眺めて言った。
「ふむ……瞳も黒か。あまり美しいとは言えんな」
「な、何よ、それっ! 悪かったわねっ! だけど美的感覚は、あんたよりましよ!」
頭にきて思わず怒鳴った。なのに二人は全く無視して会話を続ける。
「ではアルコール漬けに? しかし陛下、異世界の人間などめったに手に入るものではありませんよ。珍品としてコレクションに加えられてはいかがです?」
「う〜ん、そうだな……」
え〜〜っ? アルコール漬け? コレクション? ……何? 何言ってるの、こいつら?!