私の子猫くん

「……今のは、好きなことを確かめること。」






杏はそう言って笑った。






「……好きだよ。コウ。」







……僕は初めは猫としてこの世に生まれた。






お母さんと離されて、冷たい雨にさらされて、一度は死ぬことも覚悟したっけ。







でもね、杏。今、僕は生きててよかったって思うんだ。






嘘みたいな本当の話だけど。






杏の一番に、やっとなれたような気がするんだ。






これからも頑張るからね。







「僕も好きだよ!」






……そう言ったこの時の気持ちに、嘘はなかったんだよ。


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