私の子猫くん

「はい!」





「これが最後?」






「ううん。あと一枚。」







僕がそう言って、最後のお皿を運ぼうとした時、手が滑って、お皿を落としてしまった。






「あ……」






僕は、どうしていいか分からず、とにかく片付けなくちゃと思って、割れたお皿の破片に手をやろうとした。






「ダメ!危ない!」






杏のそんな怒鳴り声が聞こえてきたかと思うと、僕の手は杏に握られていた。







僕は、思わず泣きそうになった。どうしてか分からないけど、悲しかった。







「……ごめんなさい。」






「あっ……いや、コウは何も悪くないよ。大丈夫。」






……まただ。また杏は無理して笑ってる。

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