私の子猫くん

「聞こえなかったのか？杏と別れろって言った。」







「……どうして？僕の話、分かってくれたんじゃないの？」







思わず、僕の声も大きくなる。







「コウくんの話は分かった。でも、コウくんと杏の関係はやめないといけないと思う。」







「……分かってないよ。僕の話、分かってない。どうして？杏を自分だけのものにしたいから？僕が邪魔なの？」






「……それもないわけじゃない。」







彼はそう言って、僕の目を見つめた。






「今日、杏が僕をここに呼ぶってことは、よっぽど君のことが好きなんだろうと思った。だから、話を聞いて、もう一度よく考えた方がいいのかもしれないと思ってたんだ。」






「考える？」






「僕は杏のことが好きだよ。君と同じように。だから、少し強引にでも杏を取り返したいと思って会いに来た。昔のことがあるけど、今は変わったから、何が何でも杏にそれを分かってもらって僕のところに帰ってきてほしかった。でも、杏の今の彼氏が素敵な人だったら、諦めた方がいいのかなって心のどこかで感じてたってこと。」