私の子猫くん

「……コウくん。君が思っている以上に人間っていうのは難しい生き物だと僕は思う。君が何も知らないまま、杏と付き合っていくには限界がある。それに、今はよくても杏はきっと君に色んなことを教えなくちゃいけなかったり、一緒にいなきゃいけなかったりで、苦労するときが来る。そんな君に、杏を渡すなんて僕にはできない。」







……僕はただその言葉に俯いて、唇を噛みしめることしかできなかった。







「……いいかい?何も知らないというのは恐怖だ。決して美しいとか、綺麗とか、そんな言葉で片付けていい問題じゃない。いつも、どんなときでも、どこかでコウくんも杏も、違和感を感じ続けて一緒にいることが幸せなのかな?」







……目から熱いものが零れ落ちそうになった。






でも、これを彼に見せたら負けのような気がして、ただ黙って下を向いていた。



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