私の子猫くん
「はぁ……」
「もしもし。何か杏の方からどんよりした陰気くさい空気が流れてきてうっとおしいんだけど。」
「はぁ……」
「ダメだわ。こりゃ。杏!」
大学の講義なんか耳に入らない。
ボーっとしていた私に美樹の鉄拳がとんできた。
「……痛いよ。美樹。」
「杏がいつまでたっても返事しないからでしょ?」
美樹がそう言ったとき、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「ちょうど授業も終わったし、中庭でコーヒーでも飲みながら話聞かしてもらおうかしら?」
私はそう言って微笑む美樹を見て、黙って俯くことしかできなかった。