私の子猫くん
「なるほどね。コウくんが一緒にいなかったときから少し気にはなってたけど。」
「……やっぱり私の考えすぎなのかな?」
美樹はブラックのコーヒーを飲みながら、私の話に耳を傾けていた。
中庭には人も少なく、心地よい風が吹いていた。
「……杏は本当にそう思ってるの?そう思ってないから、不安なんじゃないの?」
「……そうかもしれない。コウが何か隠してるなんて、私が信じたくなかっただけだったのかもしれない。あんなに純粋だったコウが隠し事するなんて……」
……何も知らなかった美しさも、何かを知れば途端に醜くなる。
たとえ、それが私のためでも。
「……でもカッコいいじゃない。好きな人のために、ちゃんと話してくれるなんて。」
「……それはそうなんだけど。あっさり亮が引き下がったのにも違和感があって……」
……あんなにしつこかった亮が、昨日はあっさり帰った。それも妙に気になっていた。