私の子猫くん
「うん。お利口さんだね。……あ、コウの名前だけ決めて、私の名前、教えてなかったね。私は杏。でも、コウにはきっと分からないんだろうなぁ。」




……ううん。分かるよ。




この人間の名前は杏。




僕が今一番仲良くなりたい人間。




「よし、じゃあ一緒にお風呂に入ろっか。」




……これから、僕は杏と生活するんだ。




……杏に大切にしてもらえるようにしなくちゃ。




もう寂しいのは嫌だから。




「ねぇ、コウ。私ね、何か寂しかったんだ。」




……杏が寂しい?




「だからね、コウが一緒にいてくれて嬉しい。」




……そう言った杏がとても悲しそうで、僕は杏にすりよることしかできなかった。




もし、僕が人間になって、杏を、今杏が僕にしてくれているみたいに、抱きしめてあげることができたら……




そんなことを思ったりしていた。


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