私の子猫くん
「……ねぇ、私が好きだっていうの、嘘なんでしょ?」
「違う。あれは嘘じゃない。僕は今でも杏のことが好きだよ。」
「じゃあ……」
「僕が悪かったのに、杏が好きだから、諦められなかっただけなんだ。でも、今の杏にはコウくんがいて……コウくんなら奪い返せるなんて考えちゃう僕はまだまだだね。」
「……亮。」
ほんの少しだけ、亮がかわいそうに思えた。
「約束するよ。もう二度と杏とコウくんの前には現れない。」
亮はそう言って立ちあがった。
「……杏。僕と出逢ってくれてありがとう。色々とごめんね。」
「……亮も、早く幸せになってね。」
……亮はニコッと笑い、私の前から姿を消していった。