私の子猫くん
「……杏。僕、こんなにも杏のことが好きなのに。」
僕は猫だった時、僕を人間にしてくれた小さな女の人の言葉を思い出していた。
『あなたが人間になる理由、つまり、杏という人間の隣にいたいという気持ちが失われたり、また杏という人間があなたの存在を嫌いになったとき、あなたは泡となり消えてしまうでしょう。』
……僕、消えちゃうの?
嫌だ。このまま消えるなんて。
杏に僕のいた証を何も残せないまま消えるなんて嫌だ。