私の子猫くん


……コウ、今日のこと見てたんだ。





……黙って大学に来て。





「……違うのに。私に説明させてくれる時間もくれなかった。」






ボロボロと涙がこぼれおちる。






「私の一番はコウなのに……」







私は不格好な文字で書かれた手紙を握りしめて、ただひたすらに泣いた。






部屋の中にもコウがいた証があちこちに残っている。






着替えに、歯ブラシ、一緒に撮った写真。






……それに何より、私の心に刻まれたコウとの想い出。





キスの感覚。





……わがままなんかじゃないよ。





忘れられるはずがないんだから。


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