私の子猫くん
何が足りないのか、私には自分の心が分からなかった。
友達だって多くはないけどいる、大学生活にそれなりの充実感だってある。
だからこそ、この心の渇きの正体が、私には見当もつかなかった。
「はぁ……」
今日は、布団に入って窓の外を眺めているだけ。
こんな日に、外に行ってもきっとろくなことはない。
そう思って、もう一度眠りにつこうとする私の近くで、
携帯がけたたましく鳴り響いた。
「……もしもし?」
「ちょっと、杏。その声はまだベッドの中でしょ?」
「……今日は、行かないから。」
電話口から聞こえる声は、数少ない友達の美樹(みき)。
今となっては、何で友達になったのか分からないくらいに、私とはいろんな部分が違って華やか。
「また、そんなこと言って。語学の出席日数足りてるの?」