私の子猫くん
「実は、同居人が増えたんです。」
私が、何気なくそう言うと、マスターは驚いたような表情を浮かべた。
「杏ちゃん、彼氏できたのかい?」
「あ、いえ、彼氏じゃなくて、猫です。黒い子猫。」
「何だ……急に杏ちゃんに春がやってきたのかと思ったよ。」
「その子猫が人間になってくれて、彼氏になってくれればって考えちゃう私に、春なんか来るわけないじゃないですか。」
「いやぁ、杏ちゃんはかわいいから、いつやってくるか分からないよ。」
「誉めても何も出ませんよ。」
私は、そう言って笑った。
「すみませーん。2人なんですけど。」
「あ、はーい。」
……コウ、今何してるかな?
そんなことを考えたりしていた。