私の子猫くん
アパートに着くと、その入り口の前に、大家さんが立っていた。
「あれ?大家さん。どうしたんですか?」
大家さんは優しそうなおばさんで、いつも何かとよくしてくれていた。
「あぁ、ちょうどよかった。どうも昨日から猫の声がするっていう話を聞いて、一人ひとりに部屋を確認させてもらってるんだよ。」
……まずい。
まさかこんなに早くバレちゃうなんて。
「他の部屋は……」
「みんな調べたよ。後は大森さんの部屋だけ。まぁ、勘違いだとは思うんだけど、契約上、ペットは禁止だし、大家として調べる義務があるから。悪いけど、協力してもらえないかい?」
……どうしよう。
私が、ここで断るなんてできないし、
部屋に入れたら、コウのことが知られちゃう。