私の子猫くん


「どうしたんだい?」




沈黙を続ける私に、大家さんが畳み掛ける。




「あ、いえ……どうぞ。」




「悪いねぇ。すぐに終わるからね。」




どうしよう。




もし上手くコウが見つからなかったとしても(そんなのはあり得ないけど)、




周りのペット用品の説明はどうしたらいい?




……コウは捨て猫で、1人で寂しかったはずなのに、また1人になっちゃう。




……きっと大家さんは私が猫を飼ってることを知ってる。




というか、確信を抱いてる。




……あれこれ考えてるうちに、もう部屋の前に着いちゃった。




……コウ。ごめんね。




駄目な飼い主で。




もっと一緒にいたかったな。




私は、そんなことを考えながら、部屋の鍵を開けた。


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