私の子猫くん
「僕は、杏と一緒ならそれでいいんだけどね。」
相変わらず、コウはマイペースで甘い。
「……そういえば、コウは人間になったけど、今何歳くらいなんだろう?」
私がそう聞くと、コウは首を傾げる。
「僕、分かんない。でも、そんなの関係なく、僕は杏が好きー。」
「わっ、だからいきなり抱きつかないでってば。」
……たとえ、目の前にいるのが、あの黒い子猫だったコウでも、今はかなりカッコかわいい人間の男の子。
そんなことされてドキドキするなっていうほうが無理で……。
「……ん。」
コウは私の言葉を聞いて、悲しそうな表情を浮かべて、私から離れる。
「杏は、僕のこと嫌い……?」
……何?このかわいい生き物。
「いや、あの、す、好きだよ……?」
その言葉を聞くと、コウはまたとろけるような笑顔になり、私に飛び付いてくる。
「大好きー。」
……まぁ、いっか。
私も幸せだし。