私の子猫くん
こんな雨の日でも、道を行く人の数はあまり変わらない。
私と同じ学生のような人、おじいさんやおばあさん。
それに、何だか説明が難しいような人たち。
みんな、せかせか歩いている。
……競歩の選手になればいいのに。
そんなことを考えている時だった。
「……ん?何か聞こえた?」
雨の音に混じって、何か音がしたような気がした。
……ん?何だろう。あの段ボール。
私は、道の脇に置かれた、ずぶ濡れの段ボールに目をやった。
どうやら、謎の音もここが出所らしい。