私の子猫くん
「杏、早く行こうよー!」




「ちょっと待って。」




ご飯を食べたあと、コウは外に行くのが待ちきれない様子で、玄関でずっと私を待っていた。





……あっ、今なら大丈夫かな。





「亮(りょう)……さよならだね。」





私はそう言って、棚の上にあった一年前の私をゴミ箱に捨てた。




「杏ー!」




「今行くよー!」




大切な人ができたの。




亮といたときには感じなかった幸せなの。





私の傷もきっと癒えるから。





本当はもっと早く捨てなきゃいけなかったのに。





もう二度と思い出さないから。





「行こう。」




ほら、こうやって手を握ってくれる大切な人。


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