私の子猫くん
そんなことをしているうちに、アパートの前に着いていた。





「あれ?ねぇ、杏。あの人誰だろー?」






コウが突然歩みを止めて、私にそんなことを言ってきた。






「えっ?」






何気なくコウが指さした方向を見た。本当に何気ない気持ちだった。







……どうして?






……もう二度と私の前には現れないでって言ったじゃない。







それなのに、どうして……







私の脳裏に、徐々に消えかけていた恐怖が広がっていく。

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