私の子猫くん
……久しぶりに聞く低い男らしい声。





何も変わっていない。






「……大学だった?それともバイト?」






……別に私が何してたっていいじゃない。






もうあなたとは関係ないんだから。






「ねぇ、答えてよ。僕、ずっとここで待ってたんだけど。」






……恐怖で口が開かない。






こんなに端正な顔立ちで、素敵な笑顔をしているのに、私にとって彼の存在は恐怖以外の何物でもない。







「……ねぇー、杏。この人だれ?知り合いなの?」






私が心の中を恐怖に支配され始めたころ、大好きな安心できる声が聞こえた。


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