私の子猫くん

「……私のお母さんとお父さんね、私が中学生の頃に死んじゃったの。」





「……え?」






「車にはねられたの。ほら、外走ってる速い機械。」






車が何なのかは分かってる。






僕が驚いたのは、杏があまりにもあっさりお母さんとお父さんが死んじゃったことを言ったことだった。






「コウのお母さんとお父さんは?」






「……分からない。お母さんはきっと僕が生まれた場所にいるけど、お父さんはよく分からない。」






「……そうなんだ。あの雨の日ね、コウを見たとき、私に似てるなって思ったの。私もあの時は一人ぼっちだったから。」






……そうだったんだ。







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