私の子猫くん
「お母さんとお父さんが死んじゃった時、私ねすごく悲しかった。私と一緒に暮らしてくれる優しい人はいたんだけど、どうしても素直になれなかった。……何回か死んじゃおうかなとも思った。」







……杏がすごく辛そうな顔してる。






「……杏、無理して話さなくてもいいよ?」






「……ううん。コウに聞いてほしいの。」






……僕は杏のその言葉に、口を噤んだ。







「でもね、結局死ぬ勇気なんかなくて。一応、高校っていうところに行くために勉強もしたんだ。あの時は行けなくてもいいと思ってたんだけど。」






僕は杏が話してくれている言葉の一つ一つを覚えていたいと思った。


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