私の子猫くん

僕の質問に、杏は一瞬顔を歪めたけど、すぐに柔らかい表情になった。







「……コウが現れる前、私の一番大切だった人。」








……胸がドキッとした。







……涙が出そうにもなった。






僕の知らない杏がそこにいたから。







「……私は彼のおかげで変われたの。明るくなれたし、笑うこともできるようになった。……でもね、彼は私のことを一番に思ってなかったんだ。」






「えっ?」








「……浮気したの。」





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