私の子猫くん
「浮気?」






「……別の女の人と付き合ってたの。」






「……杏がいるのに?」






僕がそう尋ねると、杏は力なく頷いた。







「私も若かったのかな。でもね、心の支えだったから、裏切られたショックはすごく大きかったの。怒るとか、悲しいとかよりも何も考えられなかった。」






「……そっか。」






「一度は離れようかとも思った。でもね……離れられなかった。亮も謝ってくれたし。」







こんな話をしているのに、杏の表情は僕の心をキュッと掴んで離さなかった。


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