ハルナツアキフユ
***
「大槻さんって、モテるんだ。」
声のする方を見ると、そこには、小木曽がいた。
「ごめん、聞くつもりはなかったんだけど、
顔洗いにきたら、聞こえちゃった。
初耳だったよー、武井がなんて。」
彼は、武井くんが去っていった方向をちらりとみた。
そして、立ち尽くすわたしをみる。
「保留にしちゃうなんて、勿体無い。」
いつもとなにもかわらぬ様子で彼は言った。
わたしは、ずっと黙ったままでいた。
「好きな人、いるの?」
「居ない。
だけど
あまりにも急すぎて……なんか。」
「そっか」
「うん…」
「……」