キャンディーヌ
おんなのこ
「かわいいね」
やめて、遊ばないで。
彼は私の頭を撫でる。きもちいい。
私が目を細めたのをいいことに彼はまた浮わついた言葉を口にする。そりゃあ私だっておんなのこだもの。どきどきする。好きになっちゃいそう。
「じゃあ、またくるね、ばいばい」
昨日のように、一昨日のように、いつものように、彼は突然私にさよならを言う。なんだっていうの。まだ時間は大丈夫。だけど彼は突然私を突き放す。ねえ、聞いて。あたしの言葉を聞いてよ。おんなのこだもの、ちょっとはわがままいいたくもなるわ。
あれから時間がたって、空は暗くなって、月がみえた。また一日が終わる。また一日が始まる。あーあ、なんて退屈!こんなときは彼のことを思い出す。浮わついた台詞をもう一度頭の中で再生する。不思議と明日が待ち遠しくなる。素敵な魔法。私は堪らずこの胸の内に秘めている愛を月に叫んだ。何度も。でもどうやら私の言葉はあなたには通じないみたい。尻尾を振って、鳴いて、態度で示すしか私の気持ちは伝わらない。誰よりあなたを愛しているのに。私だっておんなのこ。この恋を最後で最高の恋にしてみせるわ!
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さいごのこい
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