泡沫のキス
そう。
ちょっと夢がリアルだったからなんて。
私はお父さんとお母さんの娘。
変わらない事実。
きっと、私が意外にファンシーな脳を持っていただけだ。
だから、あんな夢を見るだけ。
「……い…っ!」
「どうしたの、マリア?」
「う、ううん、何でもない!早く行こう!」
踏み出した足に、一瞬、何かが刺さるような痛みがあった。
たった一瞬だけど。
いや。
…気にすることない、か。
私はお母さんと新しい学校に向かった。