後輩クンは毒舌サン。
「いったぁ…」
倒れはしなかったものの、思いっきり鼻をぶつけてあたしは赤くなった鼻を押さえた。
固い感触から、ぶつかった人は男みたいだった。
「ごめんなさい」と言おうと顔を上げたところで、あたしの顔はピシッと固まる。
それは今一番、見たくない顔。
「あ、あんた…」
「あれ」
あたしを見るその目は、まるで獲物を見つけた獣。
ニンマリとあがった口角は、まるでずるがしこい猫。
「奇遇ですね、先輩?」
――今日は、本当にツイてない日だ…