ピュア

ブリザード

ある猛吹雪の朝。
今日もいっぱい頑張るんだ。
自分自身に呼びかけながら、職場へと急いだ。
いつもと変わりの無い毎日。
それでも宏美は毎日がとても充実していた。
そう、職場のスタッフは皆独身。
心の奥で、安堵の気持ちがうまれていた。
なぜなら、宏美の両親が結婚の話しを、
週に一回は、話してきたからだ。
実は、宏美の両親は、2年前に死別してしまった、竜平との結婚に反対していたのだ。
宏美は意地でも結婚はしないと、心に誓っていた。
彼の事故を、両親は、内心タイミングが良かったと思ったかも知れない。

竜平はいつも、おじいちゃん、おばあちゃんになっても、一緒に手を繋ぐんだー
と無邪気にはしゃいでいた。
彼の笑顔と彼の情熱に包まれていた。

しかし、世の中には
彼氏がいる子もいれば、中には不倫を生き甲斐にする子もいる。
宏美は不倫をしている彼女をさげすむ目で見ていた。
そこまでして、男といたいか?
誰かを傷つけてまで、恋愛ドラマに走る
。不倫を好む人には、ドロボー猿とあだ名を付けていた。

本当に大切な人は、大切なんだと、
気付いた時にはもう居ないのだから。

どれだけの人がその
事に気づいているのだろう?
竜平がいなくなってから、ぼんやりする事が多くなった。


(もうすぐクリスマスですね~。店長ご予定は?)スタッフからの質問にふと我に返った。
戸惑いながらも、笑顔で、
(まだ考えてない)と
答える事が精一杯だった。
外は猛吹雪。
お疲れ様でした。とスタッフに挨拶を交わしながら、家路を急いだ。
(あっ!そうだ。このDVD、幸絵に返すの忘れてた。)
宏美は幸絵にDVDを返す為に、いつもと違う駅で降りた。
まさか、この猛吹雪の夜に・・・・
人生を・・・・!
2年の空白を・・・・!
宏美の全てを・・・・!!!抱きしめてくれる人に出逢うとは、思いもしなかった。
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