メルティングポット
2
週に四回のバイト。
ママと横山さんが家で仲良くしているのから逃げたくて始めたバイト。
わたしとオタクの街を散歩するだけで嬉々として数千円を払う男たちの相手をするバイト。
客はオタク、観光客、外国人、面白半分の連中。さまざまだ。
こいつらにとって「わたし」って何なんだろう?
セックスの対象? お人形?
「君、かわいいね」
「お人形みたい」
「本当にきれい」
「マジかわいい」
あきれるほど聞いてきた男たちのほめ言葉。
どれもこれも薄っぺらくてキモい。
「なあ、じゃあいいだろ?」
「え?」
男の声で我に返る。
ここはどこ?
「いいんだよね?」
今日の客である自称なんとか男爵って名乗ったカマキリ系のメガネ男が言う。
「はぁ?」
「だって今三万でオッケー?って聞いただろ?」
わたしが上の空な間に勝手に何かを言ってたみたい。
マジうざい。
「知らないから!」
カマキリ男はわたしを公園のトイレに引っ張り込もうとする。
必死で抵抗するけど、男の力には勝てない。
「ぎゃん!」
いきなりわたしを支配しようとする力が緩んだ。
みるとカマキリ男が顔を押さえて倒れこんでいる。
「いけないよね~。こういうことしちゃ~」
チャラい声。
振り返ると茶髪できりっとした顔立ちの男がヘラヘラ笑っている。
「うひっ! キングっ!」
カマキリ男は茶髪の顔を見て慌てて逃げていった。
「君っ!」
茶髪はわたしに向き直って言った。
「あんまり変な男に引っかかるなよ! 最後に… Y!」
いつの間にか連れて来られた公園でわたしは呆然としてしまう。
少しして現実が襲ってくる。
わたし、もうちょっとでレイプされかけたんだ。
しゃがみこんで、言葉が言葉にならなくて、涙が出てきた。
「キング??」
助けてくれた茶髪の男…。
誰なんだろう??
メルティングポット。
この言葉がわたしの中で少しわからなくなった。
ママと横山さんが家で仲良くしているのから逃げたくて始めたバイト。
わたしとオタクの街を散歩するだけで嬉々として数千円を払う男たちの相手をするバイト。
客はオタク、観光客、外国人、面白半分の連中。さまざまだ。
こいつらにとって「わたし」って何なんだろう?
セックスの対象? お人形?
「君、かわいいね」
「お人形みたい」
「本当にきれい」
「マジかわいい」
あきれるほど聞いてきた男たちのほめ言葉。
どれもこれも薄っぺらくてキモい。
「なあ、じゃあいいだろ?」
「え?」
男の声で我に返る。
ここはどこ?
「いいんだよね?」
今日の客である自称なんとか男爵って名乗ったカマキリ系のメガネ男が言う。
「はぁ?」
「だって今三万でオッケー?って聞いただろ?」
わたしが上の空な間に勝手に何かを言ってたみたい。
マジうざい。
「知らないから!」
カマキリ男はわたしを公園のトイレに引っ張り込もうとする。
必死で抵抗するけど、男の力には勝てない。
「ぎゃん!」
いきなりわたしを支配しようとする力が緩んだ。
みるとカマキリ男が顔を押さえて倒れこんでいる。
「いけないよね~。こういうことしちゃ~」
チャラい声。
振り返ると茶髪できりっとした顔立ちの男がヘラヘラ笑っている。
「うひっ! キングっ!」
カマキリ男は茶髪の顔を見て慌てて逃げていった。
「君っ!」
茶髪はわたしに向き直って言った。
「あんまり変な男に引っかかるなよ! 最後に… Y!」
いつの間にか連れて来られた公園でわたしは呆然としてしまう。
少しして現実が襲ってくる。
わたし、もうちょっとでレイプされかけたんだ。
しゃがみこんで、言葉が言葉にならなくて、涙が出てきた。
「キング??」
助けてくれた茶髪の男…。
誰なんだろう??
メルティングポット。
この言葉がわたしの中で少しわからなくなった。