青の奇跡
「二本目かよ……相変わらず女のくせによく飛ばすな、奈緒(なお)」

男の子はぶつぶつと文句を言いながら奈緒に百円玉を渡した。

「くやしかったら奈月(なつき)も打てばどう?打てるかどうかは別にしてだけど」

「……打ってやるさ」

奈月は奈緒の皮肉めいた笑い方に少し表情をむっとさせ、奈緒からバットを受け取った。

ビュン!!

前方からボールが勢いよく飛んでくる。

「うりゃっ!!」

スパーン!!

バットはものの見事に空をきり、ボールは後ろのボードに当たった。

「な、なんでだよ…」

「ほらね。やっぱ当たるかどうかの問題だね」

奈緒は馬鹿にしたようにはははと腕を組んで笑った。

「お、今日もきてるんだね」

いきなり奈緒の横から四十ぐらいの男が奈緒に話し掛ける。

男の話し掛け方からして、どうやら奈緒の知り合いのようだ。
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