青の奇跡

「奈緒、今ならばれな……」

ゴツンッ！！

沈痛な痛みと共に痛々しい音が響いた。

「何言ってんの。ちゃんと言わなきゃダメでしょ。店長、本当に申し訳ないんですけれども、奈月の馬鹿がホームランゾーンの的に思いっきり投げたら穴が開いてしまって……。本当にすみません！！」

奈緒はさも自分が穴を開けてしまったかのように頭を下げて謝罪した。

これには思わず奈月も一瞬自分がどういう立場にあるのかわからず困惑した表情を見せた。

「ほら、奈月も謝る！！」

「え、あ、すみませんでした……」

奈月も珍しく反抗することなく頭を下げた。

店長は二人の様子を見て突然ぷっと吹き出した。

二人は不思議そうに下げていた頭を上げる。

「ははは。君達は本当に変わらず仲良しなんだね。今の姿見ていたら昔の二人を思い出したよ」

店長は手に持っていた電卓を傍らに置くと、頬杖をついて小さく笑った。

「昔？？……あ、小学生の時に奈月がピッチャーのマシンに向かってボールを何球も投げ付けた時の話ですね」

「そ。あの時も奈緒ちゃんが奈月君の変わりにこうやって謝っていたからね」

「そ、そうでしたっけ？？」

奈月は少し恥ずかしそうに頭をぽりぽりとかいて、二人から目線をそらした。