君だけを……。
「哀が借りたいってDVD、今日観に来る?
親いないし」
「観るっ!」
ずっと観たかったDVDが観れることに嬉しくて、直樹の切ない表情なんて忘れてしまった。
今はもう、普通になっていたから、気のせいだったかと思った。
だけどやっぱり、今日は普通じゃなかった。
普通だったのは、家に行くまでの間だけ。
部屋に入ったとたん、抱きつかれ、唇を塞がれた。
「ちょっ……直…んっ……」
明らかにいつもと様子が違った。