君だけを……。



「哀ちゃん、何かあった?」




そう聞かれたけど、首を振るだけ。


何でもない。

ただ、人の気持ちを振り回したから、罰が与えられるだけ。




「ねぇ、本当に言うの?」




心配そうに純ちゃんが言う。


彼女は私の親友で、直樹の幼なじみ。

浮気のことも知っていた。




「うん。
しょうがないんだよ」




少しでも下を向くと、泣きそうになる。


だから無理に笑顔を作った。


直樹とも作り笑顔で接していた。




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