君だけを……。



直樹は、どんどん不機嫌そうになっていく。


そんな顔されたら、せっかくの覚悟が揺らいでしまう。




「何で?」



「……他に好きな人が出来た」




理由は聞かれると思ってた。


だから、答えを用意しておいた。


さすがに“彼氏が出来た”とは言えなかった。


だからこれが、精一杯の強がり。



直樹の表情は、不機嫌から切ない顔に変わった。




「それ、本気?」




直樹の声が震えてるような気がした。


だけど、気のせいだと自分に言い聞かせた。




< 36 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop