君だけを……。



でも、その人影は立ち去るどころか、私と同様にしゃがみ込み、もう1度言った。




「哀、だよな?」




不安そうな声ではあるけど、はっきりと私の名前を呼んだ。



間違いなかった。

この4年、1度も忘れることなんてなかった相手。


ずっと、会いたかった相手。



その相手が、なぜか目の前にいる。


私は恐る恐る顔を上げ、真っ直ぐ前を見た。


そして、相手と目を合わせて、名前を呼んだ。




「直樹……」




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