君だけを……。
ため息を吐きながら言った。
私は、まんまと彼女の罠にはまってしまったらしい。
「可愛い顔してたのに、怖いなぁ」
「それが本性だったってこと。
それにあいつ、俺と別れたあと、浮気相手と付き合ってるらしいよ。
ただ、俺にあっさり振られたのが悔しかったらしい」
「そうなんだ……って、
彼女と別れたんなら、そう言ってよ!」
抱きしめられながら、直樹の胸を叩いた。
言ってくれたら苦悩も、遠回りもしなくて良かったのに。