青色のこの海に
「………蒼空って奴」
高梨くんにそういわれて顔をあげる
「ごめん。なんでもねぇ」
「………そうですか」
また下を向く私
なにやってるんだろう
私、多分すごい泣きそうな顔をしてしまったんだと思う
相当感じ悪いだろうなぁ
「……敬語やめねぇ?」
「えっ?」
突然、そういわれて驚いた
「同い年なんだしさ、敬語の必要ないじゃん。俺のこと弦って呼んでくれてかまわないし」
それもそうか
でも、呼び捨ては……
「って俺なにいってんだろうな、初対面の奴にこんなガツガツいって…ごめんな、なんか……」
私たちの間を流れる沈黙
「………ありがとう」
なぜか私はそう口にしていた
「ありがとう。弦……くん」
「………どういたしまして、宮園さん」
「宮園じゃなくて透海でいいよ」
自然とそういっていた
蒼空がいなくなってから幼なじみの三人以外と話したのは初めてだと思う
「そうか…ありがとうな透海」
あっまた口角が上がった
なんだかこんな会話が懐かしくて温かくて
久しぶりに自然に笑っていた気がする