あなたの彼女になりたくて
篠田 亜梨紗(シノダアリサ)。



思い出した。


入学してすぐ、かわいいって噂になっていた。



でも本性は……




かわいい顔した悪魔。



その事件の時は、かなり噂になっていたけど……


いつの間にか消えていた。



彼女の親が教育長で噂をもみ消したとか。


彼女が校長先生と援助交際してて噂をもみ消したとか。



当時、そんな噂までもが飛び交っていた。




それもそのはず。




だって、普通は警察沙汰になってもおかしくないのに、何事もなかったかのように普通に学校に通ってる。



あまりに普通だから、いつしかみんな忘れちゃってて……



事件の事なんて、なかった事になってる。




私も、その1人。




「何かあったら絶対、俺が夏希を守るから。てか、何もさせないけどな」



そう言って、抱きしめてくれた。



「うん……」




安心していい温もりのはずなのに……



この時の私は、恐怖でいっぱいだった。



あの篠田さんが、これで終わるわけがない。




そう確信していた。

< 62 / 96 >

この作品をシェア

pagetop