*春待つ疑問符*
Q1.なぜ、入学式に遅刻したか。

*1年生の出逢い。

まだ僕には大きい
真っ黒の新しいランドセルは、

太陽に照らされ、

初日、僕の背中でピカピカ光る事しか役割を与えられていなかった。

中身は空っぽ。
荷物はないから
ランドセルがお荷物だ。

今日の為にそろえられた
スーツとクツ。
フルネームの名札。
お決まりの入学式スタイル。

カラフルなランドセルがある中、定番の黒にしたのはやっぱり黒が一番カッコよかったから。

逆に、黒は今や少ない色なのかもしれないから、目立つ…かも、なんて。

朝からバタバタするお父さんとお母さんをおいて、僕は、ひとり家を出た。

“真っすぐ行きなさい、真っすぐ!”

背中から聞こえたお母さんの声は、寄り道するなって事だ。

通い慣れた道を、僕は真っすぐ小学校へと向かう。

1年生の僕が小学校へ通い慣れているのは、この小さな街の幼稚園、小学校、中学校は同じ場所にあるから。

6年たてばまた、同じ道のりを、僕は中学生として通うことになるんだ。

それが、この街の子どもたちの歩む道、なんだってさ。
< 1 / 128 >

この作品をシェア

pagetop