*春待つ疑問符*
学校へと続く桜並木の道は、僕の大好きな寄り道、田んぼをわきに続いている。

ちょっと、おたまじゃくしを見るだけ…

僕はお母さんに言われた真っすぐをそれて、寄り道してしまった。

ちょっとのつもりの道草が、大変なことになるなんて。


ランドセルをおいて、僕は田んぼへまっしぐら。

新しいクツが泥だらけになっていることなんて、僕にはどうってことなかった。

少しして、田んぼのわきを、真っ赤なランドセルを背負ったイチゴちゃんが通った。
お父さんとお母さんも一緒だった。

イチゴちゃんの本当の名前は衣知子ちゃんだけど、みんなにそう呼ばれているから、知らない人も多い。

イチゴちゃんだけが、僕に気づいて手を振った。

それから僕に気づいた人は、いなかったんだろう。

時間なんてわからない僕は、その後僕に声をかける人が現れるまでずっと、おたまじゃくしに夢中だった。

夢中だったんだ…
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