*春待つ疑問符*
その日から、田口君は落ち込んでしまい元気がない。

僕らはおまわりさんごっこを自粛している。

でも、僕らは交番に行って、田口君を励ますことにした。

「田口君…。」

タクミ君が声をかけた。

「田口君…。」

カズマ君もヒロ君も声をかけた。

田口君、元気だしてよ。

僕も声をかけた。

田口君は無理した笑顔でありがとう、と言った。

田口君が落ち込んでいるのは、

僕たちに見分けられた不審者を田口君は見分けられなかったこと。

犯人を逮捕することばかり考えて、被害者への気配りが足りなかったこと。

そして…

この街の平和に一番安心しきっていたのが、警察官の自分であったこと。

田口君は警察官としての自分に幻滅していたのだ。
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