*春待つ疑問符*
田口君の話は続く。

「警察官なんていう肩書きだけで、僕はこの街に居座ってた。何もできないくせに言い訳、文句だけは一人前で、半年もいたのに僕は何もしてこなかったんです。」

田口君の表情は、カエルに夢中だった僕らにもわかるくらい暗く、僕ら4人は突っ立って田口君を心配した。

「大切なことは昨日の自分に負けないことだよ。」

ハル先生が口を開いた。

「甘かった自分に気付けたことも、何もしてこなかった半年に気付けたことも、田口君にとって確実な一歩になったはずだからさ。
偉そうなことは言えないけどさ、落ち込んだり反省してる田口君はこのまえまでの‘警察官・田口君’よりいいと思うよ?
何より子どもたちが君の成長に気付いてる。」

ハル先生は笑顔で言った。

「田口君…元気だしてよ。」

タクミ君が田口君に近付き、タンポポの花を手渡す。
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