*春待つ疑問符*
「田口君!花よりこっちの方がいいよね。」

カズマ君がタンポポの綿毛を手渡す。

その時、風が吹いて綿毛が全部、空に舞い上がった。

僕らはそれを見つめながら、

あ〜ぁ…

と、呟いた。

でも、田口君は久々の笑顔を見せた。

「この街は素敵だねぇ。
こんなにいい子たちがいるんだから。」

僕たちは笑顔になった。

ハル先生も笑顔だった。

何より、田口君がこの街にきて一番の笑顔だった。
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