*春待つ疑問符*
その頃カズマ君は、田んぼの脇に座り込んで、ぼーっと空を眺めていた。

「寄り道してる子、発見!」

ハル先生がカズマ君を見つけると、隣に座って話し始めた。

「何か、あったか?」

カズマ君は何も喋らない。

「カズマが元気ないとさ、みんな心配するだろ?学校の電話が鳴り止まないんだよ、カズマはどうしたんだって。俺の携帯にも田口君から電話があったよ、この人気者!」

ハル先生は肘でカズマ君をつつく。

「話したくないことは誰にだってある。俺にだってある。話さなくてもいいけど、抱えきれなくなるまで我慢はするなよ?」

ハル先生はカズマ君の頭をガシガシなでた。

「ハル先生…」

カズマ君は話し始めた。

「僕の兄ちゃんは…、

兄ちゃんはバカだから死んだんだって、嘘だよねぇ?」

カズマ君は目に涙をためてハル先生の腕を掴む。

「誰がそんな事言った?」

カズマ君の頭に手をおいて、ハル先生はたずねた。
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