*春待つ疑問符*
「どうして誰かのために、お父さんは死ななきゃならなかったんだよ…」

桐谷君は話し始めた。

「カッコつけて誰かのために自分が死ぬんじゃカッコ悪いだろ!バカだよ!」

ハル先生は桐谷君の話を黙って聞いている。

「あの子の兄ちゃんも同じだよ。自分は死んでもいいのか?」

「桐谷君…。」

ハル先生は桐谷君の頭をなでる。

その手を桐谷君は振り払う。

「こんな街、来たくなかった…」

桐谷君はこの街で、ひとりぼっち。
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